建築家・納谷 新さんと考える、宮崎のこれから
今回の「宮崎街中リノベ会議 vol.5」は、宮崎で初登壇となる建築家・納谷 新さん(/360°)をお迎えして開催しました。
当日は、時間いっぱいを使い、これまで全国各地で手がけてこられたプロジェクトを、数多くの事例とともにご紹介いただきました。
一つひとつの事例を追いながら、その背景にある考え方や判断の積み重ねを丁寧に辿っていく時間。
それは、この会に集まった参加者が求めていたものに、
静かに、そして真摯に応えてくださるような時間だったように感じます。

足し算ではなく、引き算で考える建築
紹介された事例に共通していたのは、「何を足すか」ではなく、「何を引くか」を考える姿勢。
「隙間が、おもしろくなる」
「足し算はいいから、引き算をしたらどうだろう?」
「引き算の方が、ゆたかなものが残ることもある」
建物同士を無理につなげるのではなく、あえて隙間を残し、
動物が自分の好きな場所を見つけるように、
人が自然と居場所を選べる構成をつくる。
人が自然に居場所を選べる構成。
そこにあったのは、完成形をつくり込むのではなく、
人の居場所が自然と生まれるための〈建築(リノベーション)という環境〉でした。


トークセッション|宮崎のまちをどう読むか
文化ストリートのスケール感。
街中に点在する路地裏が持つ空気や、人の距離感。
「都市の顔」になりすぎている通りへの違和感。
空きビルや空間の活用というテーマを超えて、宮崎というまちそのものをどう読み取り、
どんな余白を残していくのかについて、率直な視点が交わされました。
「宮崎街中の、どこを引く?」
この問いは、会場にいた一人ひとりに、静かに投げかけられたように感じます。

路地裏の価値と、宮崎街中のみらい
トークのなかでは、宮崎の街中に残る路地裏の話題にも触れられました。
大通りから一歩入った場所にある、人の気配やスケール感、
少し雑多で、でもどこか居心地のいい空気。
その“路地裏のエモさ”を、価値として丁寧に言語化してもらえたことは、
新公民館VOLの管理人として、個人的にもとても嬉しい瞬間でした。
この街中には、まだ可能性がある。
簡単に答えを出さず、
「もう少し、この場所を信じてみたい」と思わせてくれる余白がある。
だからこそ、まだまだこの街中を、あきらめきれない。
そんな想いが、あらためて確かになった時間でもありました。
会議の先へ
建築やリノベーションを通して、まちのこれからを考える。
その入口として、納谷さんの事例は、あまりにも強く、深く、参加者それぞれの中に残っていきました。
実際に、この「宮崎街中リノベ会議」からは、すでに動き出しているプロジェクトもあります。
新公民館VOLはその第一号案件でもあります。
「いつか、みなさんと一緒に、この宮崎街中で、おもしろい建築ができたらいいな」
そんな言葉で締めくくられた今回の会。
余韻を残しながら、確かに次へとつながっていく、濃密な一夜となりました。
